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インフルエンザで「学級閉鎖」、ホントに意味ある?

明確なエビデンスはなかったが…

■コストとのバランス。一般化は難しい。

 同様に、日本の感染症数理モデルの第一人者、西浦博先生らの研究によるシミュレーションでは、パンデミック・インフルエンザのときに一斉に学校を休みにすると、インフルエンザの患者数は減ることが予測されました(Nishiura H, Ejima K, Mizumoto K, Nakaoka S, Inaba H, Imoto S, et al. Cost-effective length and timing of school closure during an influenza pandemic depend on the severity. Theor Biol Med Model. 2014 Jan 21;11:5.)。ただ、かかるコストとのバランスを考えると必ずしも一斉学校閉鎖が正しい戦略とも断定できなかったようです。いずれにしても、これも普通のインフルエンザとは違うインフルエンザに関する話なので、一般化はできないですね。

 というわけで、ぼくが検索した限り、一般的な季節性インフルエンザに対する学級閉鎖や学校閉鎖がインフルエンザ流行を抑えるのに効果的だ、と明確に示すデータは見つけられませんでした。はっきりとした効果が分かっていないのですから、学級閉鎖や学校閉鎖をルーチンで(どこでも)やる必要はないかもしれませんね。

 それよりも、前述の「効果がほぼほぼ分かっている」インフルエンザ・ワクチンをしっかり生徒さんが接種することのほうが大事なように思います。でも、学校でインフルエンザ・ワクチンをちゃんと接種させているところは少ない割に、学級閉鎖や学校閉鎖はアドホックに(その場しのぎに)やってるんじゃないですかねー。

 
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岩田 健太郎

いわた けんたろう

1971年、島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。日本では亀田総合病院(千葉県)で、感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任。著書に『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』(ともに光文社新書)、『「患者様」が医療を壊す』(新潮選書)、『主体性は数えられるか』(筑摩選書)など多数。


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